どうもヤクタマです。
薬価の下落がとまらないね。
下落、下落、下落、からの暴落。
値段を下げられすぎた製薬企業は不祥事からの倒産。そして現在の医薬品不足にいたるという負の連鎖が続いています。
薬価改定ごとに大騒ぎしているわけですが、それを10年スパンでみたら一体全体どんだけ下落しているのでしょうか?
気になったので10年薬価比較表を探しましたが、残念ながら見つかりませんでした。ということで自分で作ってみました。
結構苦労して作ったので、せっかくなのでダウンロードもできるようにしときます。
よかったらこれで分析してくださいな。
薬価比較表の作り方
厚労省のホームページには薬価改定のたびに薬価一覧表が公開されています。その一覧表を10年分ダウンロードして1枚のエクセルシートにまとめてみました。
比較表の注意点ですが、あくまでも素人が作ったものなので全ての医薬品を10年分完璧に一致させて追跡していくことはできません。
途中でコード変更があったり、商品名が変わってしまったり、一般名収載に切り替わったりと、10年も経つとその変化は様々です。10年間薬価だけが変わっているもの方が少ないのかもしれません。
で、何が言いたいかと言うと、完全に追跡していくことは難しいということをご了承ください。
また手動で寄せ集めるのに限界があり内服薬しかまとめていません。
注射剤・外用剤はごめんなさい。無理です。疲れました。
ボク以外の誰かが作ってくれたらいいピヨ。
薬価比較表のダウンロード
以上、では、比較表のリンクです。
クリックでDL10年薬価比較(10year-yakka.xlsx)
エクセルファイルです。
薬価比較を読み解く
10年データで16550個の「商品名」を取得することができました。途中で発売したものは追跡できないし、途中で商品名が変わってしまったり、販売中止になってしまったものも追跡できません。
約10年間(平成24年 → 令和5年)しっかり追跡できたものはわずか4414個と1/4しかない。
ここからの話は追跡できた4414個のデータの中での話です。なので中途半端なデータといえますね。まぁおもしろ半分みてくださいな。
10年薬価変動率データ数でみる
4414個のうちで10年で薬価が20%以下になってしまった品目数は15個です。って感じで行ってみよう!
- 20%以下:15個
- 30%以下:447個
- 40%以下:825個
- 50%以下:1177個
- 60%以下:1611個
- 70%以下:1962個
- 80%以下:2282個
- 90%以下:2542個
- 99%以下:3120個
- 100%以上:1294個
薬価が半値以下(50%以下)になってしまったものが1177個ですね。
なので全体の26.7%が半額以下に値下がりしてしまったようです。意外と少ないですよね。
もっとガツーンと下がってるとおもった。
逆に値上がりもしくは変わらない(100%以上)ってのが29.3%です。
なんだ10年もたってるのに29.3がそのままの価格が維持されています。基礎的医薬品ってので維持してるケースが多いのでしょうね。
基礎的医薬品は、保険医療上の必要性が高く、医療現場において長期間にわたり広く使用されて有効性・安全性が確立されている医薬品であって、継続的な市場への安定供給を確保することを目的として、平成28年度薬価制度改革から試行的に導入された制度です
値下げ幅が大きいものランキング
コードの不一致が多くてイマイチだけど、値下げ幅が大きいものでも見ていきますかね。
▼値下げ幅が大きいものランキング
品名 | 平成26年 3月31日 | 平成28年 3月31日 | 平成30年 3月31日 | 令和0年 9月30日 | 令和2年 3月31日 | 令和3年 3月31日 | 令和4年 3月31日 | 令和5年 3月31日まで | 令和5年 4月以降 | 変動率 |
テノーミン錠50 | 96.6 | 92.5 | 85.4 | 39.9 | 38.4 | 19 | 17.8 | 12.6 | 11.7 | 12.1% |
ゾビラックス錠200 | 247.7 | 239.1 | 221.8 | 101.5 | 95.1 | 62 | 55.7 | 36.5 | 31.9 | 12.9% |
フオイパン錠100mg | 97.9 | 95.5 | 88.2 | 41.4 | 40.1 | 21.5 | 20.2 | 15 | 13.7 | 14.0% |
ゾビラックス錠400 | 379.5 | 371.1 | 352.3 | 165.5 | 160.8 | 92.4 | 86.7 | 59.4 | 54.4 | 14.3% |
ザジテンドライシロップ0.1% | 76.4 | 72.5 | 65.7 | 32.5 | 31.3 | 15.5 | 14.5 | 13.4 | 12.4 | 16.2% |
レニベース錠10 | 142.4 | 134.7 | 122.7 | 56.5 | 53.2 | 40.5 | 36.2 | 26.8 | 23.4 | 16.4% |
ビンダケルカプセル20mg | 58064.9 | 57171.7 | 57171.7 | 57171.7 | 58230.4 | 43672.8 | 38866 | 9716.5 | 9716.5 | 16.7% |
シンメトレル錠100mg | 58 | 54.9 | 49.4 | 24.2 | 22.9 | 13.7 | 12.8 | 11.2 | 10.2 | 17.6% |
ザジテンカプセル1mg | 58.9 | 56.3 | 51.3 | 25.4 | 24.4 | 13.6 | 12.5 | 11.4 | 10.6 | 18.0% |
メインテート錠5mg | 123 | 117 | 106.4 | 49.3 | 47.6 | 32.5 | 30.7 | 24.1 | 22.4 | 18.2% |
カプトリル細粒5% | 108.2 | 105.9 | 100.2 | 47.5 | 45.8 | 31.3 | 29.3 | 22.9 | 20 | 18.5% |
アルファロールカプセル3μg | 316.3 | 298.4 | 266.4 | 119.6 | 111.4 | 88.1 | 77.5 | 66.3 | 59 | 18.7% |
テノーミン錠25 | 57.2 | 54.8 | 50.6 | 23.7 | 22.9 | 13.6 | 12.7 | 11.7 | 10.9 | 19.1% |
ピタバスタチンCa錠2mg「サンド」 | 75.5 | 62.2 | 46.3 | 35.9 | 30.7 | 25 | 20.7 | 17.4 | 15 | 19.9% |
ピタバスタチンカルシウム錠2mg「テバ」 | 75.5 | 62.2 | 46.3 | 35.9 | 30.7 | 29.5 | 20.7 | 17.4 | 15 | 19.9% |
パナルジン錠100mg | 57.7 | 55.1 | 50.7 | 23.6 | 22.6 | 13.6 | 12.6 | 12.2 | 12.2 | 21.1% |
アルファロールカプセル0.5μg | 44.4 | 42.1 | 38.4 | 23.2 | 21.9 | 13.6 | 12.3 | 10.6 | 9.4 | 21.2% |
イマチニブ錠100mg「NK」 | 1842.4 | 1540.3 | 1290.2 | 976.8 | 854.7 | 808 | 699.2 | 609.9 | 390.3 | 21.2% |
別に特筆すべきことはないんだけど、テノーミンは驚異の88%OFFですね。
さすがに70%OFF品目はそこまで多くないけど60%OFFレベルはざらにある。
分析はまたそのうちですね。
薬価が10年で下落した理由について
薬価は、厚生労働省が2年に1度改定しています。薬価が下落する理由は、主に以下の3つです。
後発医薬品の普及
後発医薬品が市場に参入すると、先発医薬品の価格は競争によって下がります。また、後発医薬品の参入から10年が経過した長期収載品は、段階的に後発医薬品と同じ価格まで引き下げられます 。
市場実勢価格の反映
市場実勢価格とは、医療機関や調剤薬局が医薬品を仕入れる際の実際の取引価格のこと。市場実勢価格は、メーカーや卸売業者などが提供するデータをもとに算出されます。市場実勢価格が薬価よりも低い場合、差額分を返還する仕組みがあります 。
新薬創出加算の返還
新薬創出加算とは、新しい効果や安全性を持つ医薬品に対して付与される加算のこと。新薬創出加算は、新しい医療ニーズに応えるためにイノベーションを促進する目的で設けられています。しかし、新薬創出加算を受けた医薬品は、後発医薬品の参入や適応拡大などによって市場規模が拡大すると、加算の累積額を返還する必要があります 。
以上のように、様々な要因によって、日本の薬価は10年で下落しました。この傾向は今後も続く可能性があります。
薬価下落がもたらす問題点と課題
薬価下落とは、医療費抑制のために政府が定期的に行う薬の値段の引き下げのことです。この制度は、医療費の高騰を防ぐというメリットがありますが、一方で、薬局や製薬会社にとっては大きな問題点と課題をもたらしています。
薬局にとっての問題点は、利益が減少することです。薬価下落によって、薬の仕入れ値が下がると同時に、販売価格も下がります。しかし、人件費や経費は変わらないため、利益率が低下します。これによって、経営が厳しくなり、質の高いサービスや教育を提供することが困難になる可能性があります。
製薬会社にとっての問題点は、研究開発への投資が減少することです。薬価下落によって、製薬会社の収益も減少します。しかし、新しい薬を開発するためには、多額の資金と時間が必要です。これによって、製薬会社は研究開発への投資を減らすか、あるいはリスクの高い革新的な薬に取り組むことを避けるかもしれません。
では、どうすればいいのでしょうか?私は、以下のような課題があると考えます。
- 薬価下落の方法や頻度を見直すこと。一律的な引き下げではなく、効果や需要に応じて柔軟に設定することが必要です。
- 薬局や製薬会社の効率化や多様化を促進すること。コスト削減やサービス向上のために、デジタル化やオンライン化などの取り組みを進めることが必要です。
- 医療費抑制の負担を公平に分散すること。薬だけでなく、医療機器や医療サービスなども含めて、医療費全体を見直すことが必要です。
薬価制度における問題点
医薬品の安定供給における薬価制度の問題点についてわかりやすくまとめられた資料があるので、おいておきます。
全薬剤師必読の資料らしいのですが、まだ読めていないのでボクのメモです。
クリックでDL医薬品の安定供給について②(厚生労働省のリンク)
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