こんにちはヤクタマです。
2020年の調剤報酬改定で新設された「服用薬剤調整支援料2」について勉強していきます。
「服用薬剤調整支援料1」も関係するのであわせて復習しておきましょう。
2020年の調剤報酬改定については別にまとめ記事も準備しています。
点数と算定要件「簡易」
服用薬剤調整支援料1 125点
服用薬剤調整支援料1については、6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、処方医に対して、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。
服用薬剤調整支援料2 100点
服用薬剤調整支援料2については、複数の保険医療機関から6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、患者又はその家族等の求めに応じ、当該患者が服用中の薬剤について、一元的に把握した結果、重複投薬等が確認された場合であって、処方医に対して、保険薬剤師が当該重複投薬等の解消に係る提案を文書を用いて行った場合に、3月に1回に限り所定点数を算定する。
原文:調剤報酬点数表(PDF)より
「1」は減薬を提案して処方が2種類以上減った場合に算定し、「2」は提案したら算定します。
つまり「1」の方がだいぶ難易度たかいです。
▼2020年改定が反映されているテキスト。たったの550円。
重複投薬等の解消に係る提案とは
ここが超重要です。
重複投薬の状況や副作用の可能性などを踏まえ、患者に処方される薬剤の種類数の減少に係る提案
種類数の減少を提案しないといけません。
減量ではダメです。配合剤に変更もダメです。
- 4週間以上経過した内服薬6種類以上
- 頓服は含めない
- 開始して4週間以内の薬剤は含めない
- 配合剤に変更の提案は含めない
複数医療機関に対する提案でもいいのか?
「1」も「2」もそうなんだけど「複数医療機関」に提案してOKです。
ハードモードの「1」は2種類減らさにといけないから、複数医療機関に提案してトータルで2種類以上減ってれば算定要件を満たします。
*平成30年保険調剤Q&Aより
算定要件の詳細
より詳しい算定要件は「調剤報酬点数表に関する事項(PDF)」をみてみましょう。
(1) 服用薬剤調整支援料1
- ア 服用薬剤調整支援料1は、内服を開始して4週間以上経過した内服薬6種類以上を保険薬局で調剤している患者に対して、当該保険薬局の保険薬剤師が、当該患者の意向を踏まえ、当該患者の服薬アドヒアランス及び副作用の可能性等を検討した上で、処方医に減薬の提案を行い、その結果、処方される内服薬が減少した場合について評価したものである。
- イ 服用薬剤調整支援料1は、当該保険薬局で調剤している当該内服薬の種類数が2種類以上(うち少なくとも1種類は当該保険薬局の保険薬剤師が提案したものとする。)減少し、その状態が4週間以上継続した場合に算定する。
- ウ 保険医療機関名及び保険医療機関における調整前後の薬剤の種類数を調剤報酬明細書の摘要欄に記載すること。
- エ 調剤している内服薬の種類数に屯服薬は含めない。また、当該内服薬の服用を開始して4週間以内の薬剤については、調整前の内服薬の種類数から除外する。また、調剤している内服薬と同一薬効分類の有効成分を含む配合剤及び内服薬以外の薬剤への変更を保険薬剤師が提案したことで減少した場合は、減少した種類数に含めない。
- オ 内服薬の種類数の計算に当たっては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算する。
- カ 患者の服用する薬剤の副作用の可能性の検討等を行うにあたっては、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(厚生労働省)、「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」(厚生労働省)、日本老年医学会の関連ガイドライン(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン)等を参考にすること。
- キ 保険薬剤師は処方医へ提案を行う際に、減薬に係る患者の意向や提案に至るまでに検討した薬学的内容を薬剤服用歴の記録に記載する。また、保険医療機関から提供された処方内容の調整結果に係る情報は、薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により記録・保持する。
- ク 当該保険薬局で服用薬剤調整支援料1を1年以内に算定した場合においては、前回の算定に当たって減少した後の内服薬の種類数から更に2種類以上減少したときに限り、新たに算定することができる。
(2) 服用薬剤調整支援料2
- ア 服用薬調整支援料2は、複数の保険医療機関から内服薬が合計で6種類以上処方されている患者に対して、患者若しくはその家族等の求めに応じて、保険薬局の保険薬剤師が、重複投薬等の解消のために以下の取組をすべて行った場合に算定する。
- (イ) 患者の服用薬について、手帳の確認、患者への聞き取り又は他の保険薬局若しくは保険医療機関への聞き取り等により、一元的に把握すること。なお、同種・同効薬が処方されている場合は、必要に応じて処方の背景を処方医又は患者若しくはその家族等に確認すること。
- (ロ) 重複投薬等のおそれがある場合には、重複投薬等の解消に係る提案を検討し、当該提案及び(イ)の内容を記載した報告書を作成し、処方医に対して送付すること。
- イ 内服薬の種類数の考え方は、服用薬剤調整支援料1に準ずる。また、6種類以上の内服薬について、少なくとも1種類は当該保険薬局で調剤されている必要がある。
- ウ アの(ロ)の報告書は以下の内容を含む別紙様式3又はこれに準ずるものをいう。
- (イ) 受診中の医療機関、診療科等に関する情報
- (ロ) 服用中の薬剤の一覧
- (ハ) 重複投薬等に関する状況
- (ニ) 副作用のおそれがある患者の症状及び関連する薬剤
- (ホ) その他(残薬、その他患者への聞き取り状況等)
- エ 「重複投薬等の解消に係る提案」とは、重複投薬の状況や副作用の可能性等を踏まえ、患者に処方される薬剤の種類数の減少に係る提案をいう。この場合において、当該文書の写しを薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存しておくこと。
- オ 重複投薬等の解消に係る提案を行う場合、患者の希望、かかりつけ医の有無及び処方開始日等について十分な聞き取りを行った上で、処方内容の見直しを依頼する処方医に対して報告書を送付すること。
- カ 処方内容の見直し状況について患者の次回以降の来局時に確認すること。
- キ 当該加算の算定に係る保険医療機関、患者又はその家族等への情報提供については、服薬情報等提供料を別途算定できない。
*報告書(別紙様式3):患者の重複投薬等に係る報告書(PDF)
ちなみに、
医療機関にレポートを送って「2」を算定したのちに、そのレポートを受けて2種類の薬剤が減ったとしても、あらためて「1」を算定することはできません。
「1」をとるためには、それだけを狙って取りに行かないといけないのです。
以下2点を考慮すると、
- 「1」と「2」は25点しか違わないこと
- 難易度の高い「1」で失敗するリスク
全部「2」で対応するのがボク的には無難だと思いますよ。
疑義解釈資料
詳細は、疑義解釈資料によって順次補足されていきます。
現段階では、前からあった「服用薬剤調整支援料」についての疑義を紹介していきます。以前は「1」と「2」に分けていなかったので「服用薬剤調整支援料1」に該当する記載です。
令和2年診療報酬改定(疑義解釈資料その1より)
問 15 重複投薬等の解消に係る提案を行い、服用薬剤調整支援料2を算定した後に、当該提案により2種類の薬剤が減少して服用薬剤調整支援料1の要件を満たした場合には、服用薬剤調整支援料1も算定できるか。
(答)算定できない。
問 16 同一患者について、同一月内に複数の医療機関に対して重複投薬等の解消に係る提案を行った場合、提案を行った医療機関ごとに服用薬剤調整支援料2を算定できるか。
(答)同一月内に複数の医療機関に対して提案を行った場合でも、同一患者について算定でるのは1回までである。
問 17 医療機関Aに重複投薬等の解消に係る提案を行って服用薬剤調整支援料2を算定し、その翌月に医療機関Bに他の重複投薬等の解消に係る提案を行った場合、服用薬剤調整支援料2を算定できるか。
(答)服用薬剤調整支援料2の算定は患者ごとに3月に1回までであり、算定できない。
問 18 保険薬局が重複投薬等の解消に係る提案を行ったものの状況に変更がなく、3月後に同一内容で再度提案を行った場合に服用薬剤調整支援料2を算定できるか。
(答)同一内容の場合は算定できない。
平成30年診療報酬改定(疑義解釈資料その1より)
(問7)服用薬剤調整支援料に規定する内服薬に、浸煎薬及び湯薬は含まれないと理解してよいか。
(答)貴見のとおり。
(問8)服用薬剤調整支援料について、内服薬の種類数は2種類以上同時に減少する必要があるか。同時でなくてもよい場合、内服薬の種類数の減少はいつを起点とすればよいか。
(答)同時でなくてよい。保険薬剤師が減薬の提案を行った日以降に、内服薬の種類数が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続した場合に算定する。
(問9)服用薬剤調整支援料について、「保険医療機関から提供された処方内容の調整結果に係る情報は、薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により記録・保持する。」となっているが、医療機関から情報が得られるのか。
(答)保険薬局において服用薬剤調整支援料を算定する場合、基本的に保険医療機関は薬剤総合評価調整管理料の算定要件を満たすことになり、保険医療機関から情報提供がなされることが想定される。
(参考:薬剤総合評価調整管理料の算定要件(抜粋))
保険薬局からの提案を踏まえて、処方内容の評価を行い、処方内容を調整した場合には、その結果について当該保険薬局に情報提供を行う。
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