こんにちはヤクタマです。
今回は「一包化加算の算定要件」をお勉強します。
レセプトは事務さんに任せっぱなしにするのではなく、薬剤師も調剤報酬の仕組みを理解して一緒にチェックするようにしましょう。
今回は、一包化加算が算定できる条件を具体的な例をあげながら学んでいきます。
▼一包化のイメージ
錠剤やカプセルを手作業でプチプチ開封して作るから超大変なんです。その手数料にあたる点数が「一包化加算」です。
一包化のボリュームに関係なく、日数に応じて算定していきます。
一包化加算の点数
42日分以下:34点(7日ごと)
43日分以上:240点
処方日数に応じて高くなっていき43日以上で頭打ちになります。
日数 | 点数 |
1~7日 | 34点 |
8~14日 | 68点 |
15~21日 | 102点 |
22~28日 | 136点 |
29~35日 | 170点 |
36~42日 | 204点 |
43日以上 | 240点 |
*2019年10月1日(消費税増税に伴う一包化加算の点数改定を反映)
一包化加算の算定要件(超重要)
2剤以上の内服薬または1剤で3種類以上の内服薬を服用時点ごとに一包化を行った場合には、一包化加算を算定することができる。
要約すると、以下2点が一包化の要件になります。
- 2以上の服用方法をまとめた場合
ただし、飲み方に重複する部分があること - 1つの服用方法で、3種類以上の薬をまとめた場合
処方例①:2種類の飲み方を一緒にした場合(重なり:あり)
A錠 3錠
毎食後
B錠 1錠
朝食後
「2種類」の飲み方があるので一包化加算を算定することができます。
「朝」と「毎食後」は「朝」の部分で重なってるため算定できます。
もし服用時点に重なりがない場合は算定できません。
処方例②:2種類の飲み方を一緒にした場合(重なり:なし)
A錠 3錠
毎食後
B錠 1錠
就寝前
2種類の飲み方があっても服用時点に重なりがないため算定できません。
医師の指示があれば一包化をしないわけにはいかないけど、とれないんだよね。無力。
処方例③:1種類の飲み方でも算定できる場合
A錠 1錠
B錠 1錠
C錠 1錠
夕食後
飲み方が1種類だけでも、3種類以上の薬があるので算定できます。
ただし、条件が3種類以上なので同じ薬は何錠あろうとも1種類と数えます。また同じ成分の規格違いはまとめて1種類と数えます。
処方例④:1種類の飲み方で算定できない場合
A錠 5錠
B錠 5錠
朝食後
この場合は全部で10錠あるけど、薬は2種類しかないので算定できません。
ツライです。
処方例⑤:規格違いの薬剤をまとめた場合
ワーフアリン(0.5) 1錠
ワーフアリン(1.0) 5錠
アムロシピン(1.0) 1錠
朝食後
3種類あるように見えるけどワーフアリンは2つをセットにして1種類と数えます。
そうなると2種類しかないことになるので、算定できません。
一包化加算の算定に当たっては、同一銘柄の同一剤形で規格のみが異なる薬剤が同時に調剤された場合(例えば0.5mg錠と1mg錠)は1種類として取り扱うことでよいか。
(答)貴見のとおり。
処方例⑥:2種類の飲み方に「重なり:なし」でも算定できる場合
A錠 5錠
B錠 5錠
C錠 5錠
朝食後
D錠 1錠
夕食後
服用時点に重複がなくても、1つの飲み方に3種類ある場合は、算定できます。
「2種類の飲み方をまとめる」もしくは「1種類の飲み方で3種類以上の薬剤をまとめる」のどちらかの条件をみたしていれば算定できます。
処方例⑦:一部薬剤をヒートで調剤した場合
A錠 1錠
B錠 1錠
C錠 1錠
朝食後
D錠 1錠
就寝前(ヒート)
一包化できない理由があったり、調節したいという患者の希望があれば一部の薬剤をヒートでお渡しすることがあります。
その場合は、ヒート調剤以外で要件をみたしていれば一包化加算を算定することができます。
「朝」だけで3種類を一包化しているので、就寝前をヒート調剤しても要件を満たします。
たとえば、B錠をヒート調剤してしまうと要件を満たさなくなります。
(問)処方された薬剤を一包化する際に、吸湿性が強い等の理由で直接の被包(PTPシート)から取り出すことができない薬剤をPTPシートで交付するなど一包化とは別にした場合であっても、その薬剤を除いて一包化した部分が算定要件を満たしていれば一包化加算を算定できるか。
(答)算定して差し支えない。この場合、一包化をしなかった薬剤及びその理由を調剤録等に記録しておくことが望ましい。
処方例⑧:残薬を使用して日数違いを一包化した場合
A錠 1錠
B錠 1錠
朝食後 10日分
D錠 3錠
毎食後 30日分
E錠 1錠
昼食後 20日分
残薬を持参したから処方日数を調節して一包化を作成します。ちょっと複雑だからよく考えてね。
残薬をつかっても処方日数には反映されません。あくまでも処方箋に書いてある日数だけで一包化を計算します。
「毎食後」と「昼食後」の重なり部分が20日あります。
また、
「毎食後」と「朝食後」も重なり部分が10日あります。
どちらを基準にしてとることもできますが、10日でとるよりは20日分でとったほうが高い点数を算定することができるので、この場合は20日で算定するといいでしょう。
本音を言えば、30日分とりたけいけど、とれないから少しでも長い日数でとれるように計算します。
一包化加算と自家製剤加算の関係
さて、一包化の中に、粉砕や半錠などの自家製対象の薬剤があるときは、どうすればいいのでしょうか?
自家製剤加算の詳しい解説は別の記事でしています。
一包化加算を算定した場合においては、自家製剤加算は算定できない。
ただし、一包化してないところで自家製剤加算の要件をみたした場合は、その部分については、この限りではない。
処方例⑨:半錠を含む一包化をした場合
A錠 3錠
B錠 3錠
C錠 1.5錠
毎食後
3種類以上なので一包化した場合は一包化の加算を算定できます。
C錠は1回0.5錠なので、半錠にすると自家製剤加算を算定できるけど、一包化にした中にあると自家製剤加算は算定できません。
ただし、
一包化加算を算定した「剤」に「自家製剤加算」や「計量混合調剤加算」は算定できないけど、一包化加算を算定していない「剤」には算定することはできます。
というのも自家製剤加算や計量混合加算は1調剤単位で算定できるからです。
処方例⑩:半錠を含む一包化をした場合(別剤)
A錠 3錠
B錠 3錠
C錠 3錠
毎食後
D錠 0.5錠
就寝前
D錠は一包化の対象から外して自家製をとることができます。
さらに、A~C錠で一包化の算定条件を満たすからこちらも加算をとることができます。
一包化の対象となっていない薬剤に関しては自家製剤加算を算定することができるので、レンドルミン錠を半錠にしたら自家製剤加算も合わせて算定することができます。
一包化加算と計量混合加算の関係
一包化加算を算定した場合においては、計量混合加算は算定できない。
ただし、一包化してないところで計量混合加算の要件をみたした場合は、その部分については、この限りではない。
先ほどと同様に、一包化加算を算定した剤では、計量混合加算は算定できないけど、それとは関係ない部分であれば計量混合加算は算定できます。
処方例⑪:散剤の混合を含む一包化をした場合
A錠 3錠
B錠 3錠
毎食後
D散 0.5g
E散 0.5g
朝食後
飲み方に重複があるので一包化加算を算定することができますが、計量混合加算はとれません。
ただし一包化加算を算定しなければ「計量混合加算」をとることができます。
一包化加算と計量混合加算に優先順位はないので両方の条件を満たす場合はどちらでとっても構いません。
点数の高い方でとりましょう。
処方例⑫:散剤だけを一包化をした場合
A散 0.5g
B散 0.5g
C散 0.5g
毎食後
通常は、計量混合で対応するけど、もし医師の指示で一包化をした場合は、一包化加算の要件も満たすため算定することができます。
処方せんの指示の具体的内容及び患者の状態(治療上、一包化が必要か否か)にもよるが、基本的には、1剤で3種類の散剤を計量し、かつ、混合して、服用時点ごとに一包化した場合には、計量混合加算を算定する。ただし、患者の状態が一包化加算の算定要件を満たしており、かつ、処方せんにおける一包化の指示が当該患者の状態を踏まえたものであることが明確である場合には、一包化加算を算定することができる。
処方例⑬:錠剤を別に散剤を作成した場合
A散 0.5g
B散 0.5g
C錠 3錠
毎食後
散剤と錠剤の一包化は、一緒に分包してもかまわないんだけど、錠剤と粉を混ぜると飲みづらいからイヤがる人が多いですよね。
錠剤を「朝・昼・夕」にして、粉薬だけを別で作ったときの一包化加算はとってもいいのでしょうか?
これについては疑義解釈がでています。
(問)1剤で3種類の内服用小経済を一包化するよう指示された処方せんにおいて、患者の服薬及び服用する薬剤の識別を容易にすること等の観点から、錠剤と散剤を別々に一包化した場合等であっても、一包化加算を算定しても差し支えないか。
(答)別々にしたもの同士をテープや輪ゴムでまとめるなど、一包化加算の目的(薬剤の飲み忘れや飲み誤りの防止、または、薬剤を直接の被包から取り出すことが困難な患者への配慮)を十分踏まえた調剤が行われていれば、算定しても差し支えない。
超高速で一包化を作成するためのテクニック
一包化作成のコツを別の記事でまとめているからよかったら読んで下さいな。
自己流だけどね。
調剤報酬をより詳しく勉強したい
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もし、保険調剤や医療保険について詳しく学びたければ別の記事でまとめています。
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