こんにちは練太郎ことヤクタマです。
死ぬほど混合が大好きな皮膚科先生の門前薬局で働いていたから一日中練りまくって、ぼくは練太郎になりました。
今回は軟膏ミックスについて僕流に語ってみます。軟膏ミックスの正解なんてわかんないから、あくまでも自己流だけどね。
軟膏の混合は、混ぜ方はどうであれ結果的に混ざってれば文句ないと思うよ。
調剤指針に書いてある軟膏ミックス方法は、ヘラをウネウネして「おしよせる波」のように動かしながら混ぜなさいってあるよね。
ただ、あんまりこれで混ぜてる人みたことないんだ。正式版はきっと現場向きじゃないんだよ。
ちなみに皮膚科の勉強におすすめ書籍をまとめてる記事もあるのでよかったらみてください。
僕流の軟膏ミックス術
正解なんてわかんないけど、ぼくなりにこだわってるポイントをいくつか紹介するよ。
とりあえず「100g×100g」までは分割しないで1回で練ろうぜっておもう。2回に分けるとか効率悪すぎでしょ。
薬包紙だってもったいないから1枚150gまで盛り付けるようにします。流石にクリーム状のは無理だけどね。
混ぜるときは、最初に、ヘラの先端で円を描くようにグルグルかき混ぜます。最初にグルグル混ぜた方がバラつきがでにくい。
そのあとにダイナミックにヘラを左右に動かしてますが、そのときウネウネなんかしなくていいので、もう残像が残るくらいに超高速で左右にヘラを動かします。
グルグルするときはヘラを立てた方がやりやすいけど、左右に残像移動するときはヘラをなるべく寝かせた方がいい。
ヘラをしっかり寝かせて、軟膏版にしなるくらいに押し当てると、板にこびり付いた軟膏がキレイにとれます。
練り終わったら真ん中にまとめて、軟膏ツボに詰めていきます。
容器に詰めるときの注意点(その1)
たしかマニュアルでは「少量ずつ、壁面にこすり付けるように入れる」ですが、ちまちま入れてたら時間かかってしょうがないので、僕の場合は気をつけなが多めにいれてトントンします。
つまり技術でつめるのではなくトントンでつめるという力技ですね。
僕はトントン超肯定派です。否定派はトントンしてもあんまり変わらないって言うけど、変わるだろが!トントン否定派が詰めたものトントンしてやりたいぜ!
もちろんトントンするときはタオル必須ね。
たしか推奨ルールは「すり鉢状」に詰めるですよね。
「すり鉢状」にいれるのは薬剤師の自己満足であって患者さんはそこまで求めてない。トントンすればそれなりにキレイになってるから大丈夫です。
キレイにつめるのも大切だけど、速くつめるのも大切
ヒルソフ系のゆるい感じのは、トントンしてつめた方が絶対はやい。ヒルソフ系なんて、どうせ移動中に偏るんだから「すり鉢状」にするだけ時間の無駄、無駄。
容器に詰めるときの注意点(その2)
つめるときに時間がかかってしまいがちなのが、容器に入り切らずに余ってしまたときです。
少し余るのは仕方ないんだけど、大量に余ったらまた入れ直しますよね。この詰め直しのタイムロスがもったいない。
そこで、なるべく余らないようにするには増量タイプの容器を選択します。
ほとんどの薬局は増量タイプの容器を使ってると思うけど、増量タイプの方が若干高いのでなかにはケチって使わない薬局もあります。そこは必要経費だからケチるとこじゃないと思うよ。
たとえば「50g」を作成するなら「60mL」の容器に入れます。
- 5g → 6mL
- 10g → 12mL
- 20g → 24mL
- 30g → 36mL
- 50g → 60mL
- 100g → 120mL
ミックスした軟膏100gを100mLに入れようとしたら、そうとう頑張らないと入らないよ。頑張らなかったらはみ出した分を大量に捨てることになります。
捨てることになれてしまえば速いのかもしれないけど、そこは薬剤師としてプライドを持とうね。
なんとか詰め込もうと努力することで、タップ回数は増えることでしょう、詰め直しもふえることでしょう。
そのタイムロスを減らせるのが増量タイプなんです。テキトーにつめても余裕ではいるからストレス激減です。
薄型タイプの容器めっちゃ使いにくい
容器には他にも薄型タイプがあるけど、あれめっちゃ使いにくくない?
どこに需要があるのかよくわからん。持ちにくいからつめにくい、そしてフタが閉めにくい。
患者さん的にも使いにくいと思うよ。
【最終奥義】機械で混合する
機械で混ぜるのが一番ラクなのは間違いない。
ただ数十万する機械をポンポン買える薬局は選ばれた者だけですね。
そこで2万以下で半自動で混ぜられる機械もあるから紹介しておきます。
軟膏を計量するときのコツ
なるべく3回以内に秤量するというのが僕のポリシーです。
3回でとるためには、1回でなるべく目標に寄せていかないといけない。
量り取るときは、ただ漫然とヘラですくうのではなく、なにか具体的なモノをイメージしながらとったほうが正確にとれます
僕はいつも軟膏容器をイメージしながら秤量します。5gとりたければ5g容器満タンに入る量をイメージしながらとります。
軟膏容器なら「5g・10g・20g・30g・50g・100g」があるのでバリエーションのあるイメージを簡単にもつことができます。
あと一回のヘラですくえる自分のマックス値も把握しておくといい。僕の力量だと1回60gが限界です。
チューブを絞り出すスーパーテクニック
軟膏はヘラでとるだけでなくチューブをしぼるパターンもありますよね。
ぶっちゃけチューブしぼりは手間です。
そのときに活躍するスーパーテクニックが「複数同時しぼり」です。ちなみに道具でしぼるのが前提です。
機械に2本並べてセットしてまとめて絞り出しちゃいます。10本絞りなら5回でいけちゃいます。
チューブしぼり器は金属製のものがオススメです。プラスチック製のものはしぼるたびにパキパキいうし、ちょっと負荷をかけるとすぐに壊れます。
ちょっと高いけどチューブ入り軟膏絞出器のオススメは「シーボルと」です。高いだけあって、すこしの力でスムーズに絞りだすことができます。
ローション剤をミックスするときのスーパーテクニック
ときにはローションをミックスすることもあります。
ローションミックスは点鼻容器にいれて作ってます。点鼻容器を使うときに気をつけて欲しいのはチューブをいれないことです。
外用ローションを霧状に噴霧するとおもう?
普通はそういう使い方しないよね。チューブつまるよ。
さて、ローションをミックスするときに手こずるのが、なかなか液体が出てこないことです。ニゾラールローションとか先端プチッと押さないとでてこないから超手強いよね。
そんなときは、先端をとってしまうか、切断してしまいましょう。
フタをとるときは引っ張るのではなく、先端を横から押し込めば簡単にとることができます。もしくは先端は柔らかいのでハサミで切ってしまった方がラクです。チョキン。
余談だけど、目薬の薬液を速く出したいときもチョキンするといいです。ミックスすることはないけど破棄するときによくやります。
調剤台にガラス板をのせるだけで軟膏ミックスが激的に効率化
ミックスが多いなら軟膏版をちまちま使うよりも調剤棚全体を軟膏板にしてしまうといいです。
方法は簡単ですね。
調剤棚にガラス板をのせて、ずれないように固定するだけです。できれば強化ガラスがいいです。
強化ガラスはAmazonでサイズもいろいろ選べて、しかも軟膏板よりも安く購入できます。
固定はテープとかではなく滑り止めクッションゴム▼みたいのでします。
調剤棚1台分のサイズは一般的なもので「30cm×90cm」です。このサイズのガラス板を一枚購入すればそれだけで調剤棚全体が軟膏板に大変身です。
軟膏版(小)は「18cm×18cm」だから、ガラス板をのせるだけで軟膏板8枚分の軟膏スペースに大変身。
あの邪魔くさい「板」の出し入れをする必要がなくなり、しかも場所をずらしながら何箇所で作成できるようになります。
軟膏調剤に利用しないときは、そのまま調剤棚として利用できるため、ハッキリ言って導入しない理由がない。
ユヤマから「ヒーター機能付きガラス板軟膏台」みたいのも発売されています。ヒーターのあるなしに関わらず、ガラス板は軟膏調剤におすすめです。
温めながら混ぜた方がよく混ざるということでしょう。
冬場の軟膏は硬いから助かりますが、あまり温めすぎるとデロデロで逆に練りにくそうです。
軟膏版のお掃除にオススメのエタノール
使い終わったあとの軟膏板はベトベトですが、アルコールでふくとすぐに落とせます。
軟膏が多い薬局はエタノールの使用量も多くなりますが、エタノールのメーカーにはこだわっていますか?
エタノールならどこのメーカー使っても同じだからジェネリックでいいとおもいます。
ジェネリック品の薬価は先発の1/3です。もしかすると納入価格は逆ザヤになるかもしれませんが、それでも先発品のエタノールよりも安いです。
そしてエタノールの消費量が多くなると詰替えも大変ですよね?
そんな悩みを解決するのが「丸石製薬の消毒用エタノール」です。丸石製薬といえば「ウェルパス」が有名ですが、なんと丸石製薬の消毒用エタライト液は「ウェルパス」のプッシュノズルをそのままセットすることができます。
ボトルの口径や形状がまったく同じなんです。
ただこれだと先発品になってしまうので「消毒用エタプロコール」であれば丸石製薬のジェネリック品になります。残念ながらこの「消毒用エタプロコール」の互換性は確認できていない。
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