2020年7月から全国的に始まったレジ袋有料化。
コンビニやスーパーでエコバッグを持参する光景が当たり前になりました。もちろん調剤薬局でもレジ袋は有料化です。
しかし、同じ医療機関でも病院・クリニックは無料のまま、調剤薬局は有料化の対象となっています。
どうにかして薬局も無料化の対象にならないかしら?
レジ袋有料化制度の概要
2020年7月1日から全国一律で開始されたレジ袋有料化制度は、プラスチック製買物袋の過剰な使用を抑制し、環境負荷を軽減することを目的としています。この制度により、小売業を営む全ての事業者は原則としてレジ袋を有料で提供することが義務付けられました。
対象となる事業者は「小売業を営む全ての事業者」と定義されており、業種や規模を問わず適用されます。つまり、大手チェーン店から個人経営の小さな店舗まで、商品を消費者に販売している事業者は全て対象となるのです。
この制度の背景には、年間約300億枚ものレジ袋が使用されている現状があります。調剤薬局も小売業の一種として位置づけられているため、この制度の対象となっています。
調剤薬局が対象となる理由
調剤薬局がレジ袋有料化の対象となる理由は、薬事法上の「小売業」としての位置づけにあります。調剤薬局は処方箋に基づいて医薬品を調剤・販売する事業者として、法的には小売業に分類されています。
具体的には以下の理由により、調剤薬局は有料化義務の対象となります:
- 商品の販売行為:処方薬だけでなく、一般用医薬品や医療機器、健康食品などの販売を行っている
- 対価の授受:患者から薬代(調剤技術料含む)を受け取る商取引を行っている
- 店舗での接客:来店する顧客(患者)に対して商品を提供している
多くの調剤薬局では、処方薬以外にも絆創膏、体温計、マスクなどの医療用品を販売しており、これらの販売行為が小売業としての性格を明確にしています。
有料化の対象となるレジ袋の条件
調剤薬局で有料化対象となるレジ袋には、明確な条件が設定されています。以下の条件を満たすレジ袋が有料化の対象です:
対象となるレジ袋の条件:
- プラスチック製の買物袋(持ち手があるもの)
- 厚さが50マイクロメートル未満のもの
- 商品を入れて持ち運ぶために提供されるもの
有料化対象外のレジ袋:
- 厚さが50マイクロメートル以上の繰り返し利用可能な袋
- バイオマス素材を25%以上配合した袋
- 海洋生分解性プラスチック100%の袋
調剤薬局で一般的に使用されているレジ袋は有料化の対象となります。
ただし、薬袋として利用するチャック袋などは商品そのものの包装材として扱われるため対象外です。
チャック袋の薬袋こそもっともエコじゃないと思うけどね。
なぜ病院は無料で調剤薬局は有料?
「医療業」は無料で、「小売業」は有料だからだ!
つまり薬局は「小売業」ってことです。
病院・クリニック(院内処方)は有料化対象外
多くの患者さんが疑問に思うのが「なぜ病院では袋が無料なのに、調剤薬局では有料なの?」という点です。この違いには明確な理由があります。
病院・クリニックが対象外となる理由:
病院やクリニックでの院内処方は、医療行為の一環として位置づけられており、小売業とは区別されています。具体的には以下の特徴があります:
- 医療サービスの提供:診療行為に付随して薬剤を提供している
- 処方箋不要:医師が直接患者に薬剤を渡すため、商取引の性質が異なる
- 医療機関としての分類:業種分類上「医療業」に該当し、「小売業」ではない
院内処方では、薬剤の提供は診療報酬として一括して請求されるため、個別の商品販売とは性質が異なります。そのため、レジ袋有料化制度の対象外となっているのです。
調剤薬局(院外処方)は有料化義務あり
一方、調剤薬局での院外処方は、独立した薬剤販売事業として扱われます。処方箋を持参した患者に対して薬剤を調剤・販売する行為は、法的には小売業としての商取引に該当します。
調剤薬局が有料化対象となる具体的な根拠:
- 独立した事業者:病院とは別の事業者として薬剤を販売している
- 調剤技術料の設定:薬剤費とは別に技術料を設定し、サービスを提供している
- 幅広い商品販売:処方薬以外にも一般用医薬品、医療機器、健康食品などを販売している
- 店舗運営:来店する顧客に対して接客・販売サービスを提供している
この業種分類の違いにより、同じ薬を受け取る場合でも、院内処方では袋が無料、院外処方(調剤薬局)では袋が有料という状況が生まれています。
患者さんからの質問に対しては、「病院は医療サービス、調剤薬局は薬の販売事業として法的に区別されているため」と説明すると理解していただきやすいでしょう。
調剤薬局での具体的な対応方法
レジ袋の価格設定方法
調剤薬局でのレジ袋価格設定は、他の小売業と同様に事業者の裁量に委ねられています。ただし、適切な価格設定により、患者の理解を得ながら環境への配慮を示すことが重要です。
一般的な価格設定の考え方:
調剤薬局におけるレジ袋の適正価格は、以下の要素を考慮して決定します:
- 原価の回収:袋の仕入れ単価に適正な利益を加算
- 近隣店舗との価格調整:周辺のコンビニ、スーパーの価格を参考
- 患者の負担感:医療費とは別の負担として適切な範囲内に設定
実際の価格設定例:
多くの調剤薬局では、以下のような価格設定を行っています:
- 小サイズ(S):3円~5円(一般用医薬品、小物用)
- 中サイズ(M):5円~8円(処方薬1~2袋用)
- 大サイズ(L):8円~10円(複数の処方薬、かさばる医療用品用)
価格設定の際には、「環境配慮のためのシンボリックな価格」として位置づけ、過度に高額にならないよう配慮することが大切です。多くの薬局では、コンビニと同程度の3円~5円に設定しているケースが多く見られます。
価格表示と患者への案内:
レジ袋の価格は、以下の方法で明確に表示し、患者にとって分かりやすくすることが重要です:
- レジ周辺への価格表示:サイズ別の価格を明記した掲示物を設置
- 会計時の確認:「レジ袋は有料(○円)となりますが、ご利用されますか?」
- エコバッグの推奨:「マイバッグをお持ちでしたらお使いください」
患者さんには、「環境保護の取り組みとしてレジ袋を有料化している」ことを丁寧に説明し、理解を求めることが大切です。特に高齢の患者さんには、制度の背景を含めて説明すると納得していただきやすくなります。
レジ袋を無料で提供するには?
レジ打ちするのがダルいの無料にしたいです。
調剤薬局でも、条件を満たせばレジ袋を無料で提供することが可能です。ただし、これには特定の条件をクリアする必要があります。
無料提供が可能なレジ袋の条件:
法令で定められた以下の条件を満たすレジ袋であれば、無料で提供できます:
1. 厚手のレジ袋(50マイクロメートル以上)
- 繰り返し使用に耐える厚さのプラスチック製袋
- 一度きりの使用を前提としない、丈夫な作りの袋
- 初期コストは高いが、患者サービスとして無料提供可能
2. バイオマス素材配合袋(25%以上)
- 植物由来の原料を25%以上配合したレジ袋
- 環境負荷軽減効果が認められた素材を使用
- 一般的なレジ袋より若干高価だが、環境配慮をアピールできる
3. 海洋生分解性プラスチック袋(100%)
- 海洋環境で分解される特殊なプラスチック製袋
- 最も環境に優しいが、コストが最も高い選択肢
- 薬局の環境への取り組みを強くアピールできる
実際の導入における考慮点:
無料レジ袋の導入を検討する際は、以下の点を総合的に判断する必要があります:
コスト面の検討:
- 通常のレジ袋:1枚あたり2~3円
- 厚手レジ袋:1枚あたり8~15円
- バイオマス袋:1枚あたり5~10円
- 海洋生分解性袋:1枚あたり15~25円
ちょっと高いんだよね。
レジ袋はアスクルで無料にできるレジ袋の特設サイトあるので参考にしてみてください
FAQ(よくある質問)
Q1. 調剤薬局のレジ袋有料化はいつから始まったのですか?
A1. 調剤薬局のレジ袋有料化は、2020年7月1日から全国一律で開始されました。この日から、調剤薬局を含む小売業を営む全ての事業者にレジ袋の有料化が義務付けられています。制度開始から既に数年が経過しており、現在では多くの患者さんにも浸透してきています。
Q2. なぜ病院では袋が無料なのに、調剤薬局では有料なのですか?
A2. 病院・クリニックは「医療業」、調剤薬局は「小売業」として法的に分類が異なるためです。病院での院内処方は医療行為の一環として位置づけられており、レジ袋有料化制度の対象外となっています。一方、調剤薬局は独立した薬剤販売事業者として小売業に分類されるため、有料化の義務があります。
Q3. レジ袋の価格はどのように決められているのですか?
A3. レジ袋の価格は各薬局が自由に設定できます。多くの調剤薬局では、近隣のコンビニやスーパーを参考に、3円~10円程度の範囲で設定しています。価格設定の際は、袋の原価、患者の負担感、環境配慮の観点を総合的に考慮して決定することが一般的です。
Q4. 処方薬を入れる小さな袋も有料になるのですか?
A4. 錠剤やカプセルを個別に包装する小さな薬袋は、商品(薬剤)そのものの包装材として扱われるため、有料化の対象外です。有料化の対象となるのは、調剤された薬剤をまとめて持ち帰るための「買物袋」として使用されるレジ袋です。薬局で「袋代」として請求されるのは、この持ち帰り用の袋のことです。
Q5. レジ袋を無料で提供している調剤薬局もあるのですが、違法ではないのですか?
A5. 条件を満たすレジ袋であれば、無料で提供することは全く問題ありません。厚さ50マイクロメートル以上の袋、バイオマス素材25%以上配合の袋、海洋生分解性プラスチック100%の袋は有料化の対象外のため、無料提供が可能です。これらの袋は通常のレジ袋より高価ですが、患者サービスや環境配慮の観点から導入する薬局が増えています。
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