こんにちはヤクタマです。
今回は、調剤薬局で働く薬剤師なら絶対に知っておきたい「薬剤料」の計算方法について解説していきます。
普段はパソコン任せでもいいけど、ルールを知らないと、患者に突っ込まれたときに説明できません。
患者によく突っ込まれる、あるあるが「1種類減ったのになんで値段変わらないんですか?」です。
これ答えられるようにならないダメだから、回答がわかんない人は一緒に勉強しましょう。
薬剤料の計算は「薬価 × 錠数」みたいに単純ならいいんだけど実際はもうちょっと複雑なんです。復習も兼ねて「薬剤料の計算方法」を一から確認しておきましょう。
薬剤料の計算だけならパソコンがやってくれるけど「種類が減ったのに値段が変わらない理由」までは教えてくれません。
そんじゃ、長くなるけど頑張っていこう!!
薬剤料の定義
ちゃんと定義から見ていくよ。
- 使用薬剤の薬価が調剤料の所定単位につき15円以下の場合:1点
- 使用薬剤の薬価が調剤料の所定単位につき15円を超える場合:10円又はその端数を増すごとに1点
*調剤報酬点数表の記載より
調剤報酬点数表の記載はこれだけだから非常にシンプルですが、分かりづらいですね。
わかりにくい箇所といえば「所定単位」という記載でしょう。
これは「調剤報酬点数表に関する事項」の別の箇所に、所定単位とは「1剤1日分」とすると記載されています。
さらに「1剤」というのは「調剤報酬点数表に関する事項」の別の箇所「服用時点が同一である薬剤」と定められています。
ハイ、これが原則ね!!
つまり、薬剤料とは「1剤」ごとの「1日薬価」を点数化したものをいいます。そして、最終的に処方日数をかけて処方日数分を計算します。
「1日薬価を計算して、日数倍する」という、この順番がとっても大切なんです。
それでは、これらを踏まえてわかりやすく薬剤料の計算を解説してきます。
内服薬の薬剤料の計算方法
それでは一連の流れから説明します。
-
ステップ①「1剤」の「1日薬価」を計算する
-
ステップ②「1日薬価」を五捨五超入し「円」を「点」に変換する
-
ステップ③処方日数を掛ける
この3ステップで計算できます。
ステップ①:「1剤」の「1日薬価」を計算
「1剤」の「1日薬価」を計算します。
「剤」というのは飲み方ごとの単位ですね。
ロキソニン 3T
ムコタイン 3T
ホララミン 3T
毎食後
薬剤料は、一種類ずつ計算するのではなく、飲み方が同じものは一つのまとまりとみなします。
ロキソニン13.8円×3T
ムコタイン13.2円×3T
ホララミン5.7円×3T
合計98.1円
こんな感じで1日薬価を計算します。
ステップ②:五捨五超入して点数化
「1日薬価」を五捨五超入し「円」を「点」に変換していきましょう。
このときに登場するのが「五捨五超入」というルールです。
定義で言うところの▼この部分ですね。
使用薬剤の薬価が調剤料の所定単位につき15円を超える場合:10円又はその端数を増すごとに1点
この部分を解釈して「五捨五超入」と呼びます。
五捨五超入(ごしゃごちょうにゅう)とは
「四捨五入」ではなく「五捨五超入」なので聞きなれない言葉ですよね。
1日薬価を計算してみると小数点以下があらわれるのですが、調剤報酬の考えに小数点以下は登場しません。
薬価の単位は「円」なので「点」に変換するときに小数点以下をまるめて整数にする行為が「五捨五超入」です。
例えば、薬価が26円だったとします。
単純に1点10円でやると2.6点になりますが調剤報酬に小数点以下は登場しないので、小数点以下の0.6は切り上げて「2.6」 → 「3」に変換します。つまり薬価26円は3点になります。
この切り上げのルールが「五捨五超入」です。
1.5点までは切り捨て「1」
1.5点をちょっとでも超えたら「2」
つまり1.5000001を五捨五超入すると切り上がって「2」になります。
1調剤の1日薬価を計算する
内服薬において「1調剤」というのは「同じ服薬方法」のまとまりのことです。
さきほどの処方例を見てみましょう。
ロクソニン 3T
ムコタイン 3T
ホララミン 3T
毎食後
薬剤料は、一種類ずつ計算するのではなく、飲み方が同じものは一つのまとまりとみなします。
ロクソニン13.8円×3T
ムコタイン13.2円×3T
ホララミン5.7円×3T
合計98.1円
こんな感じで1日薬価は「98.1円」なので、五捨五超入して点数化すると「10点」になります。
ステップ③:1日薬価に処方日数を掛ける
1日の薬剤料が計算できたら処方日数倍してあげます。
ロクソニン 3T
ムコタイン 3T
ホララミン 3T
毎食後 3日分
処方例は3日分なので3倍しましょう。
1日薬剤料10点 × 3日分 = 薬剤料30点
ハイ、できあがり。
くれぐれも間違えないでほしいのが「1日薬価 → 五捨五超入 → 日数倍」って3ステップです。
これが一部逆転して「1日薬価 → 日数倍 → 五捨五超入」になるとまた違う答えになってしまいます。
あくまでも1日薬価をベースに考えることをおわすれなく。
おまけ:1日薬価15円以下の薬剤料
極端に点数の低いものは一律1点になります。
1日薬価が0.5点以下だと五捨五超入してしまうと0点になってしまい、ただで渡すことになってしまう。そのため極端に低いものは1点とすることで請求することができます。
0.51点~1.5点も五捨五超入したら1点になるので、総合すると1日薬価が15円(1.5点)以下のものは一律1点になります。
使用薬剤の薬価が調剤料の所定単位につき15円以下の場合:1点
*調剤報酬点数表の記載より
おまけ:薬が1種類へったのに値段が変わらないのは「なぜ?」
次の処方の薬剤料を計算してみましょう。
ロクソニン 1T
ムコタイン 1T
ホララミン 1T
朝食後 3日分
1錠あたりの薬価は「ロクソニン16.8円・ムコタイン20.2円・ホララミン5.6円」です。
よって1日分の薬価は「42.6円(4.26点)」になり、これを五捨五超入すると1日あたり「4点」になります。
次に、ホララミンがなくなった時の処方で計算してみよう。
ロクソニン 1T
ムコタイン 1T
朝食後 3日分
1日に分の薬価は「37.0円(3.7点)」なので五捨五超入すると1日あたり「4点」になります。
何がいいたいかというとホララミンがあってもなくても同じ「4点」なので1種類へったとしても会計は同じということがわかります。
よって、極端に安い医薬品の増減は「会計に影響を与えないことがある」ということがお分かりいただけたでしょうか。
いつもおんなじ薬を使っている人が「1種類減っても薬代がが変わらないのはなぜなのか?」という質問への回答はこの一連の流れを示してあげることになります。
バイアス錠なんて1錠5.6円しかしないから、削除になっても会計がかわらないことが多いです。
ご高齢の方だと、パソコンの方が間違っていると機械のせいすることがあるから、手動でも計算できるようにしていざって時に説得できるようにすることが大切です。
内服薬はひとまずこれで終了です。次は外用薬に行ってみましょう。
そうそう、内服薬の調剤料については別の記事で解説しているのでよかったらみてくだされ。
外用薬の薬剤料の計算方法
外用剤は処方箋に総量が記載されているので「薬価 × 総量」を10で割って五捨五超入するだけです。
ポルタレン軟膏 50g
肘に塗布
外用薬は「日数」の概念がないので処方箋に全量記載するルールになっています。
計算方法は超シンプル。
薬価 8.1円/g × 50g = 405円
405円だから10で割って40.5点です。それを五捨五超入して「40点」
ねっ、簡単でしょ。
外用薬の調剤料については別の記事で解説しているのでよかったらみてくだされ。
頓服薬の薬剤料の計算方法
頓服薬の処方箋には1回量と処方回数と服用タイミングが記載されてます。
薬価を計算するときは「総薬価(1錠薬価×1回量×回数)」を10で割って五捨五超入するだけ。
ロクソニン錠 2錠
疼痛時(10回分)
「総薬価」を計算するから「1回20錠 ×10回 × 18.6円/錠」なので総薬価を計算します。
計算式 2錠 × 10回 × 18.6円 = 372円
372円を10で割った37.2円を五捨五超入した37点が薬剤料になります。
くれぐれも間違っちゃいけないのが「薬価 × 1回量」を五捨五超入してしまわないようにね。
あくまでも総薬価を記載することが大切。
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