こんにちは、新米の薬剤師ヤクタマです。
今回は錠剤を粉砕する「機械」についてです。
錠剤を粉砕する方法は3パターンあります。
- 乳鉢でゴリゴリつぶす
- 機械でバリバリつぶす
- ペンチでバチンとつぶす
うちの薬局は粉砕の処方箋がきたら覚悟を決めるため「つぶし入りまーす」って高らかに宣言します。
「つぶし」っていうのは昔からの慣例で言ってるだけで、実際はつぶさずに機械にかけてバリバリ粉にします。
錠剤専用の粉砕ミルは高額だから、どこにでもあるようなものではありません。
でも大丈夫、正規品は高価で手が出ないけど、安価で似たようなものが簡単に手にはいるので代替品を紹介します。
粉砕する前段階の錠剤をバラす器具については他の記事でまとめています。
正規の粉砕機の価格はいくらするのか?
粉砕機はめっちゃ高いよね。
薬局用の専用の粉砕機といえば大同工業の「錠剤粉砕機スマッシャー」です。
約7万円は高いよねー。
粉砕の頻度にもよるけど、月に1回くるかこないか程度の使用頻度では、なかなか手がでない。
機械がなければ乳鉢でゴリゴリするしかありません。
もし7万円もあればいろんなものが購入できます。
新しいプリンター、コピー機、掃除機、エアコンなど、老朽化した薬局には欲しいものだらけ。
このあといろいろ安いの紹介するけどそれはあくまでも代用品で専用品ではありません。
もし錠剤の専用品を安く買いたいなら「大阪ケミカル」の「ラボ用ポータブル錠剤粉砕機 OML-1」がオススメです。
粉砕機は調理用ミルで代用可能か?
うちの薬局はけっこうな頻度で粉砕調剤がきます。
1回で100錠くらいの粉砕はザラで、多いものだと処方箋1枚で500錠くらいツブします。
まず乳鉢では対応できない。
ある日、いつものように機械でバリバリしてたら驚愕の事実を知ってしまいました。
なっ、なんと、
いつも使っている粉砕機が調理器具だったのです。
しかも、ホームセンターでたったの3000円。
めっちゃキレイに粉になるけど、これがたったの3000円ならお買い得すぎる。
1回に100錠とか余裕だし、フィルムコーティング錠もバリバリいっちゃう。本家の粉砕機を使ったことがないので違いはわからないけどミルミキサーはスゴいよ。
ミルミキサーって何?
ミルミキサーはミル&ミキサーの略でそれぞれ独立してます。
必要なのは「ミキサー」ではなく「ミル」の方です。
- 「ミル」はブレードが分厚くて、固形物を粉砕します。
- 「ミキサー」はブレードが鋭利で固形物を裁断、もしくは液体と個体を混ぜ合わせます。
「ミル」は小さいカップが多いので錠剤をいれるのにぴったりサイズ。カップがデカイと付着が多くなり粉砕ロスが大きくなります。
「ミキサー」は食材を大量にぶち込んでシェイクみたいの作るからカップがデカイ。
錠剤を粉砕するときは「ミル」だけ利用するので、薬局では「ミキサー」は封印しましょう。
ボクの経験上、薬局でのミキサーの使用用途は”皆無“です。とっておいても邪魔だからソッコーで捨てた方がいい。
「ミル」だけほしいけど単独で売ってるのは少ないから「ミキサー」とセットで購入します。
って、ことでオススメのミルミキサーを紹介しちゃうよ。
オススメのミルミキサー
うちで使ってるやつです。
小さいカップのほうが「ミル」で、デカいカップの方が「ミキサー」です。
ミキサーはつかわないから小さい方だけ使います。
これめっちゃ安いです。専用機の「スマッシャー」を購入する価格で20個くらい買えます。
初代は5年つかって引退してもらって、現在は2代目が活躍中です。大量に硬い錠剤をブチ込んで回すとモーターが壊れます。
専用品じゃないからそういうことも起きるけど、気軽に2号機を購入できるくらいの価格帯なのがいい。
この価格なら粉砕調剤が多くない薬局でも、いざってときのために1台置いといてもいいとおもう。
アレグラを乳鉢でつぶしたことあります?
たかがアレグラとおもうなかれ、あいつ、めちゃくちゃ硬い。
乳鉢でつぶそうとすると泣きそうになります。
やっぱ機械欲しいです。
おしゃれで安価なミル
「グリーン」と「ピンク」があります。調剤室にはあまり見ない色なので、つかってないときはオサレなオブジェになります。
コンパクトでつかいやすい。
ただ使ってないときは邪魔だから引き出しにいれてます。
チタンブレードでバリバリ粉砕できて、それでいて価格もいい感じです。
コーヒーミルでも粉砕できるの?
調べてるとコーヒーミルでもいいみたいだけど、試したことないから使いがってはわからない。
コーヒー豆が砕けるなら裸錠ならいけるでしょう。どの程度の硬さまでいけるかはわからない。
こちらのコーヒーミルはボタンを1回おすだけで、粉砕が完了後に自動で止まります。忙しいときには放置できるメリットがある。
ミキサーミルと同じような価格帯です。安価だから試しに買ってみて、使えなさそうなら休憩室において昼のコーヒータイムにつかえば、きっとスタッフが喜びます。
ボクはコーヒーはコンビニで淹れる派なのでいらないけどね。
錠剤を効率よく半錠にする方法は?
半錠については別の記事で詳しく解説します。
半錠カッターはめっちゃいいのあるから、ヒートの上からパチーン、パチーンであっという間に半錠にできます。
そして、押し出すことなくカッパっと取りだす画期的な方法を紹介するので是非みて。
錠剤粉砕の可否はどう判断する?
とりあえず医薬品添付文書の”性状“の項目をチェックします。
絶対じゃないけど「裸錠」「素錠」はだいたい粉砕OKと判断します。裸錠(素錠)は薬の成分を押し固めてそのまま薬の形を形成したものです。
コーティングされてないから錠剤に特殊な技術が使われていない。
砕いても、もともとも性質はかわりません。フィルムコーティング錠は、各薬剤ごとに判断しないとダメなのでめんどくさい。
その判断基準に”割線の有無“を考慮します。あくまでも考慮するだけで絶対的な指標ではない。割線があるということは割ってもいいということなので粉砕できるだろうと考えますが、ときどきダメなパターンもあるので、判断は慎重に。
添付文書で割線ありとか性状とか調べるときに便利な方法があるので別記事を参照ください。
あらゆる手を尽くして1個ずつ調べるのは大変だよ。
- ネット
- 添付文章
- インタビューフォーム
- メーカーTEL
そこで、手っ取りばやく薬局の経費で本を購入しよう!!
1冊買っとけばずっと使えるから「粉砕ハンドブック」を薬局においておけばいいじゃん。
粉砕はほとんどないから、おいておいても無駄になるだけで、もったいないって?
だったら「治療薬ハンドブック」がオススメです。
「今日の治療薬」「治療薬マニュアル」とかの薬剤師バイブル的なやつは、薬局にありますよね?
それの「じほう」がだしてるやつが「治療薬ハンドブック」です。
昔は、治マニ派だったけど、治療薬ハンドブックは見やすいし疾患の解説ページが読みやすいということで、現在は治ハン派です。
治療薬ハンドブックの最大の特徴は「粉砕可否」のデータが記載されていることです。
「粉砕可否」のデータは「錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック」をもとに記載されています。
簡易的なものでいいのであれば「治療薬ハンドブック」で十分です。もっと詳しい情報がしりたければ別途で「錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック」を購入すればいい。
これすらも購入するのはもったいないというどケチ薬局さんに朗報です。
ヤクチエ添付文書という無料アプリをつかうと、なんと添付文書に載ってない「一包化・分割・粉砕」情報を補足してくれています。
100均でもつかえる粉砕器具
100均でつかえる粉砕器具っていえば”ペンチ“でしょ!!
分包紙のうえからペンチではさんで潰せばミルで粉砕するよりもロスが少なくてすむ。1個ずつ潰すのめんどくさいけど。数が少なければこの方法はオススメ。
ペンチをそのままつかうと、分包紙に穴があいてしまい、衛生的じゃなかったり、巻き直しの手間が発生します。
ペンチ先端に両面テープでフェルトを貼ったりして緩衝効果を追加することで分包紙を破かず優しく、錠剤だけをつぶすことができます。
両面テープやフェルトも100均アイテムです。
直接、粉砕とは関係ないけど”茶こし“も必須アイテムだよね。フィルムコーティング錠のカラとかメッチャ取れます。
もし転職計画があるなら当サイト経由してもらえると助かります。
ヤクタマが転職するときに毎度お世話になっているのが「ファルマスタッフ」ってサイトです。
転職サイトとしては忖度なしにヤクタマぶっちぎりでオススメです。
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